アッパーランド｜赤字の遊園地が舞台のボードゲームでチームビルディング研修

　赤字の遊園地をV字回復させるための手段（アトラクション建設やメニュー開発、資金調達や市場調査など）を各プレイヤーはカードとして持っています。プレイヤーはお互いに協力しなければアッパーランドをV字回復させられませんが、カードをお互いには見せることができません。自分はどういったことができるのか、言葉で相手に伝えなければならないのです。どのように伝えれば相手に伝わるのか、試行錯誤しながらプレゼンする力が養われます。

　そしてチームですから自分ばかりが伝えるのではなく、相手の情報も引き出さねばなりません。どのように聞けば求めている情報を引き出せるのか。このようにゲームを進めることで自分が情報を伝え、相手から情報を引き出すというお互いにコミュニケーションする能力が高められます。

　ゲームとはいえ、現実世界と同じように時間は有限です。限られた時間の中で遊園地をどのように経営していくかを決めなければなりません。しかも自分一人ではなくチームとして決断しないといけないのです。自分が何をするかという決断力とチームとしての決断力を鍛えることができます。しかも自分が情報を出す時間、相手から情報を引き出す時間、チーム内でアッパーランドの経営方針を協議する時間、そして協議結果をまとめて決断する時間と時間を有効に使う必要があります。すなわちタイムマネジメントのスキルも鍛えられます。

　また遊園地を経営するという経験はほとんどの人にとって未知の領域です。すなわち常識のない世界です。未知の経営課題に直面したときどのように意思決定をしていくのか、柔軟的な考え方・決断力も問われるゲームです。

　遊園地をV字回復させるゲームですから、もちろんお金の流れ（キャッシュフロー）も取り扱います。ゲームですので専門的な知識を必要とすることはありません。しかし、売上をどのように増やすか、パレードをするには人が必要だけど人件費がかかるとか、実際の経営さながらに利益をどのように生み出すかを考えます。飲食・物販のように売上を直接生み出す部門と人事や施設管理のように直接は生み出さないコスト部門に分かれていますので、互いに協力して利益を生み出すことの大切さを学びます。

　ゲームを進行させると各プレイヤーの活動がアッパーランドという遊園地の経営数字にどのような影響を与えるのか見えてきます。つまり計数感覚が養われるということです。これが実際の仕事現場でも自分たちの仕事、企業活動がどのように数字に反映されるのかという数字を読む力（計数感覚）につながっていきます。

　実際の遊園地を運営すると、これでもかというくらいに毎日事件が起きます。アッパーランドでも事件、問題が起こるように設定しています。そして問題解決のために各プレイヤーが解決するためのカードを出すのですが、使う順番を間違えると問題を解決できないようになっています。どのカードを先に出せばいいのか、このカードを出すとどのような影響があるのか、それを理解した上で順番を決める必要があります。この繰り返しによってロジカルシンキング、問題解決力が鍛えられます。

　またV字回復のためには利益を出す必要がありますが、遊園地の課題も自分たちで見つけなければいつまでたっても赤字から抜け出せません。自分たちの課題に気づくことができるか。社会人経験者であれば気づけるようなヒントをちりばめていますが、場合によってはファシリテーターが誘導する場合もあります。ゲームを進行させる中で課題発見力を高められるのもアッパーランドの魅力の一つです。

　最後に相手を思いやる、信頼する力です。アッパーランドという遊園地が舞台のボードゲームを参加者が様々な部門を担当します。チームとしてゲームに参加するのですが、売上を生み出す部門、経費だけがかかる部門などプレイヤー間では利害関係もあります。しかし、お互いに協力しなければ、チームとして取り組まなければゲームは失敗の方向に向かいます。そういった経験をすることでお互いを理解し、どうすればチームとしてまとまるのかをプレイしながら学ぶことができます。

　各部門には例えば営業が集客で売上を増やしたり、施設管理は他部門のミスをフォローしたりと専門性、得意分野があります。相手の得意分野を信頼して任せる、そして相手の苦労、大変な部分を思いやってフォローし合う、それができるゲームです。人と人のつながりが希薄になりがちな昨今ですが、改めて人と人とのつながりの大切さ、重要性を体感できるゲームでもあります。